お酒についての過剰なテレビコマーシャル

多い女性・ヤングーの飲酒シーン
テレビを見ていると、お酒のコマーシャルがとても多いことは誰でも気づくことです。そこでは有名人のタレントが、いかにもうまそうに、ごくごくと音をたてて飲むという風景が繰り返し流されています。
酒造業界は、アルコール飲料の宣伝にテレビを最大限使っているようです。なんせ日ぶ人の六割は、アルコール飲料に関する情報をテレビから得ている(総理府調べ)グーらいなのです。テレビのコマーシャルを見ていると、業界のターゲットがヤングーと女性に合わされていることがよくわかります。
私の手元に「テレビはアルコール依存症から回復できるか」(『アルコールンンドローム』二O、一九九O)という報告書があります。それによると、夜の六時から0時までの聞にテレビで流されたコマーシャルの中で、アルコールに関するコマーシャルは九%を占めていたそうです。しかもそれらのコマーシャルのねらいは、「若者に、女性に、昼間から」という意図が非常に明確であるそうです。また若者の飲酒シーンが多いこと、昼間の飲酒シーンが多いこと、女性が飲酒しているシーンが多いことなどの特徴があったとのことです。
確かに、若いタレントがおいしそうにお酒を飲んでいるコマーシャルが、とても多いことに気づかされます。最近でも「すったもんだがありました」とかのコピーで二O才になったばかりの女性タレントが、カンチューハイのコマーシャルに登場しています。
こうしたテレビのコマーシャルは、実は未成年者の飲酒を増加させる大きな力になっているのです。それは酒造業界のねらいが、日本の飲酒人口をヤングーと女性に拡大するという戦略であるが故の、当然の結果といえます。

テレビコマーシャルで刺激されるヤングー達
私達の調査でも、未成年者がテレビのコマーシャルによって飲酒欲求が刺激されているという結果が出ています。中学生の二三%、高校生の三一%が、テレビのお酒のコマーシャルで、「面白い、または飲みたくなる」と感じていると答えています。そして、「お酒のコマーシャルは多すぎる」と感じている子ども達は中学生で一一%、高校生で六%に過ぎませんから、お酒のコマーシャルがいかに子どもにも強い刺激を与えているかがわかります。さらに、このように「面白い、または飲みたくなる」と答えた子ども達の中には、先程述べた問題飲酒群の子どもが多く含まれていることも分析されました。この調査結果を見て、コマーシャルを作った人達はきっと大いに喜ぶに違いありません。コマーシャルの意図が的確に子ども達に伝わり、日本の飲酒人口の増加と飲酒量の増加につながっていると推測されるわけですから。
私達の調査では、タバコのコマーシャルについての子ども達の感想も調査していますが、実は、タパコのコマーシャルを見て「面白い、または吸いたくなる」と答えた子ども達よりも、お酒のコマーシャルを見て「面白い、または飲みたくなる」と答えた子ども達の方が中学生も高校生も二倍以上にのぼることがわかっています。この理由について考えてみますと、タバコのコマーシャルが子どもにとって魅力のないダサイと感じるものなのかもしれませんが、実はほかの理由も考えられるのです。一つは、永年の学校における禁煙教育と、大人達のお酒に甘くタバコに厳しい態度によって、子ども達の聞にタバコは悪いものだという常識が作られているとも考えられます。もう一つは、実はこの調査が行われたころから、タバコのコマーシャルが自主規制されて、夜の二時過きからしかテレビで流れなくなっていることとも関係ありそうです。
未成年者に対する悪影響という観点から、さまざまな市民団体がアルコールとタバコのコマーシャルの規制を訴えてきた歴史があります。その成果でタバコのコマーシャルは、一九九一年秋からは夜の一一時以降に規制されたわけです。しかし、アルコールのコマーシャルはいまだに業界も自主規制できず、厚生省も禁止もできず、あらゆる時間帯に流されて未成年者の飲酒欲求を刺激し続けているわけです。影響されやすい子どものために、子どもがテレビを見る時間帯は、アルコールやタバコのコマーシャルは流さないという常識が通用しないのが現在の日本です。

野放し状態のテレビコマーシャル
注目しなければならないのは、いわゆる先進国においては、アルコールのテレビでのコマーシャルは厳しい規制が設けられており、日本だけが野放しに近い状態であるということです。たとえば、スエーデンではアルコールのコマーシャルは全面的に禁止されており、アメリカにおいてもテレビではハードリカー(ウイスキーやブランデーなどの蒸溜酒)のコマーシャルは禁止されており、ビール、ワインのコマーシャルも飲酒シーンは使ってはならないことなどが決まっています。さらに、諸外国においては、アルコールの害に対するキャンペーンがテレビを通じて流されていることです。つまり、諸外国においては、アルコールの消費量を抑えようという政策が働いており、アルコールの害についてのキャンペーンが続けられており、未成年者の飲酒を抑制するようにテレビのコマーシャルも規制されているのです。この点では日本はいまだに後進国といわざるを得ません。
アルコールのコマーシャルの問題からははずれますが、テレビドラマでの飲酒場面も大いに問題です。かつてタバコがドラマにおけるイメージ作りの小道具でしたが、今や飲酒がドラマの中でのイメージ作りの小道具になっています。ドラマの中で、女性もヤングーも、飲酒場面が主人公の情緒の表現として多用されているのです。飲酒は主人公の怒り、寂しさ、喜びなどの表現に使われています。最近人気のあった東京ラブストーリーというドラマでも、主人公のヤングー達がいつも飲酒しているのが気になってしまいました。

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