ACのとは

親の飲酒問題と切り放せない子どもの飲酒
ACとは(Adult Children of Alcoholics)の略ですが、ACOAとは、直訳すると、「アルコール依存症の親を持った大人になった子ども達」という意味です。何故このような言葉が出現したかというと、一九六0年代からアメリカでアルコール依存症と家族についての研究が進み、アルコール依存症の家族は、家族全体が情緒的な混乱に陥っていることが多いこと、子ども達にも非行や情緒障害が多いことが明らかになりました。そこでアルコール依存症の親を持つ子どもは、ハイリスクの子どもであるということでCOA(Children of Alcoholics)「アルコール依存症の親を持つ子ども達」という言葉で呼ばれるようになったのです。ところが、一九八0年代となり、アルコール依存症の親を持つ子どもは、子ども時代のリスクだけでなく、大人になってもさまざまな問題を持つことが多いことがわかり、ACOAという言葉が出来たのです。この本では、ACOAとCOAを含めてACという簡略の表現を使います。
なぜこの本でACについて取り上げる必要があるのでしょうか。一つの理由は、高校生における問題飲酒者の中にはACが多いこと、もう一つは、若いアルコール依存症の中にACが多いからなのです。つまり子どもの飲酒と親のアルコール問題は、強い結びつきがあると考えられるのです。さらに、アルコール依存症の家族におけるさまざまな葛藤的な家族関係について、少し述べておく方がいいと考えるからです。

一割以上の高校生が親のアルコール問題に悩む
高校生の飲酒についての調査の中で、高校生の約一割は問題飲酒者の親を持っていること、あるいは親の飲酒についての葛藤的な感情を持っている高校生が、一割いることが明らかになりました。私達は一万四000人の高校生の調査過程で、いくつかの学校において、親のアルコール問題の有無もアンケートに含めました。親のアルコール問題については、親の飲酒にまつわる子どもの感じた不快な体験を調査したのでした。

親の飲酒問題についての調査項目は、一0項目の質問から構成されており、それらは表四にのせました。それらの質問は、親の飲酒によって引き起こされるさまざまな家庭内の不快な体験や、親の飲酒問題に対して子どもが感じるさまざまな感情があげてあります。それを私達はCASTJ(Children of Alcoholics Screening Test-Japan)名づけました。この一0項目の質問は、CAST(Children of Alcoholics Screening Test)と呼ばれるコ一0項目の質問を、多人数の調査にも便利で、日本の実情にも合うように変えたものです。私達は予備調査において、医療系の専門学校生にCASTJとCASTの両方のスケールで調査を行い、久里浜病院に受診しているACにも同じ調査を行いました。この二つの予備調査から、CAST-Jの一0項目の質問において、三項目以上にイエスと回答した生徒は、親のアルコール問題を持っていると判断したのでした。予備調査からおよそ次のようなことが明らかになりました。CASTJで三項目以上イエスと回答した者の親は、習慣的な大量飲酒者であり、飲酒によるさまざまな失敗を持っており、飲酒によって家族にも迷惑をかけている存在でした。久里浜病院に受診しているACについてはさらに詳しい調査を行い、CAST-Jの六点以上にイエスと回答した者の親は、確かにアルコール依存症と診断される人達でした。
このCAST-Jを、高校生の飲酒問題の調査と共に、神奈川県内の一七OO人の高校生に行いました。そこから次のような結果が導かれました。高校生全体の一二%、男子の八%、女子の一五%が、CASTJで三項目以上にイエスと回答し、親のアルコール問題を持っていたのです。男子と女子の間で大きな差がありますが、これは女の子が親の飲酒に対して敏感であり、特に父親の飲酒に対する潔癖感が強いせいと考えられます。
高校生の一割以上の生徒が、親のアルコール問題に悩んでいるということは重大なことです。これは日本での初めての調査ですが、この調査は、未成年者の飲酒問題と並んで、大人の飲酒問題による家族の破壊も深刻になっていることを示しています。アメリカでCASTを使った調査がありますが、アメリカでは若い世代の二01三O%が親のアルコール問題を持っていると報告されています。
日本では大量飲酒者が二OO万人を越えると報告されています。この数字は、本人がアルコール問題で悩んでいるだけでなく、その家族や子どももアルコール問題によって悩まされているということも示しています。

依存性薬物の乱用傾向が高いAC
高校生の一割を越える生徒が、自分の親のアルコール問題で悩んでいるということは、その割合の高いことに驚かされますが、さらに重要なことは、彼らACの中では、飲酒問題の調査における問題飲酒群が、そうでない生徒と比較して二倍も多く存在していることです。この傾向は男子生徒でも女子生徒でも認められました。つまり、ACの高校生は、親の飲酒問題に悩んでいると同時に、自分でも多く飲酒しており、リスクの高い飲酒をしていることになるのです。
先程、アルコール依存症者の二Ot三O%は親のアルコール問題を持っていると述べましたし、ヤングのアルコール依存症者においては、その割合は三Ot四O%になると述べました。高校生における調査結果を踏まえると、アルコール依存症の親を持つ子どもは、未成年時代からリスクの高い飲酒をすることが多く、アルコール依存症にもなりやすいことが明らかになりました。
さらに、ACの高校生は問題飲酒群が多いだけでなく、タバコを吸っている者やシンナー経験者も、そうでない高校生と比較して二倍も多いという結果が出ています。つまり、依存性薬物の乱用傾向が高いということなのです。
以上から、ACの問題は未成年者における飲酒の増大と、親の飲酒による家庭破壊との接点にあることがおわかりいただけると思います。

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