アルコール依存症

習慣的飲酒者
日本では大人の男性の四五%、女性の九%が習慣的な飲酒をしています。中年男性では八O%が習慣飲酒をしています。習慣的な飲酒とは、週に四日以上の飲酒をしている人をいいますの中にはカンビールを一本という人から毎日一升酒を飲んでいる人までいます。食事の時だけにアベリティーフとして飲むだけで満足している人もいれば、仕事が終わってから寝るまで飲み続けている人もいます。習慣飲酒をしている人達は、お酒がないと寂しいと感じる人達ですから、すでにアルコールへの依存が芽生えている人ですが、それはコーヒーがないと寂しいと感じる人がいるのと同じで、特に医学的に問題とはいえません。

アルコール耐性の上昇は依存症への出発点
ほぼ毎日のように日本酒で三合以上、ビールを三本以上、ウイスキーをダブルで三杯以上飲酒している人達を大量飲酒者と呼んでいます。こうした大量飲酒者は口を揃えて「お酒を練習しているうちに強くなった」といいます。お酒にだんだん強くなり、たくさん飲まなければ酔わなくなることをアルコール耐性の上昇と呼びます。最初はビール一本で気持ちよくなっていたのが、だんだんビールではいくら飲んでも酔わなくなり、日本酒やさらに強いウイスキーでしか酔えなくなるのです。アルコール耐性が上昇してくると、さらに強い酔いを求めて大量に飲酒することになります。アルコール耐性の上昇はアルコール依存への.プロセスの始まりを意味します。
アルコール耐性が上昇するのは、中枢神経が頻繁にアルコールの作用を受けると、アルコールに対する感受性が鈍くなるために発生します。そのためにビール一本で酔っていたのが二本飲まないと酔えなくなるという現象が起きるわけです。これはアルコールに限らずあらゆる依存性薬物に生じる現象です。練習してお酒に強くなるのは、アルコールの代謝が早くなることよりも中枢神経の感受性が弱くなることの方が大きな原因なのです。お酒に強くなることは決して自慢出来ることではなく、悲劇の序幕に過ぎないこともあるのです。

コントロール喪失飲酒
アルコール依存症は、コントロール喪失飲酒と離脱症状(俗称では禁断症状と呼ばれる)の二つの特徴を持っています。コントロール喪失飲酒は、アルコールへの精神依存とも呼ばれています。精神依存の存在する人はほろ酔いでは満足出来ず、深い酔いを求め、アルコールへの耐性の上昇とあいまって、どんどん強いお酒を大量に飲むようになります。そうすると飲み方が変わるのですυ宴会では、早く酔いたいために最初からどんどん飲みます。むしろ、人と飲むより一人で飲むことを好むようになります。社交の道具であった飲酒やストレス解消であった飲酒から、酔うことだけを目的とした飲酒に変わるのです。
コントロール喪失飲酒のサインは、まず深酔いを求めるためのブラックアウトの頻発から始まります。さらに飲酒時聞が夕方から夜という時間に限らなくなり、朝酒や回世一酒が始まります。社交的な場面においても、泥酔してしまうような醜態をさらすようになります。薬物探索行動と呼ばれる現象も特徴的です。よく見られるのは、お酒がなくなった時に、そこであきらめずに家中お酒を探し、料理用の味酬を飲んだりする行動です。久里浜病院に入院しているアルコール依存症者では、ヘアトニックを飲む人が多いので、アルコール病棟ではヘアトニックは禁止しています。ヘアトニックの中にはイソプロピルアルコールが入っていて、酔うことが出来るのです。入院中に口からヘアトニックの匂いをぶんぶんさせている人は、薬物探索行動の典型といえます。

アルコールの魔力―――連続飲酒発作
アルコール依存が進むと、飲酒によるさまざまな失敗が発生し、二日酔いで休むことも増え、体も悪くなったりで、周囲からはお酒を止めるか控えるように、プレッシャーがかかってきます。本人も自分の行動に罪悪感を持ち、何とかお酒を止めようと努力を始めます。数日から数週間の禁酒も始めたりします。しかしこの時、彼らは自分の中の強い飲酒欲求や渇望感にさいなまれることになります。頭の中は常に「飲むべきか飲まざるべきか」と、お酒のことばかりが駆けめグーるようになるのです。

罪悪感と渇望感の狭間で苦しみが始まるのです。この時に最も簡単な解決方法は一杯飲むことです。
そうすると罪悪感と渇望感との聞の葛藤は姿を消し、ほっとすると同時にもっと飲みたいという簡単な気持ちに変化するのです。これが依存性薬物であるアルコールの持つ魔力といわれるものなのです。
コントロール喪失飲酒の究極の形は、連続飲酒発作と呼ばれています。これは夜昼間わず、日本酒とか焼酎とかウイスキーとかを、二~三杯飲んでは数時間眠り、目が覚めてはまた二~三杯飲んでまた眠るという、酔って膜鵬とした陶酔の時聞を続ける飲み方です。自分の部屋でする人もいますが、車でどこかにでかけるとかホテルにこもって誰からも文句のいわれないところで行う人もいます。これを数日から数週間にわたり、体力の続くかぎり、あるいはお金の続くかぎり延々と行います。アルコール依存症の人が口を揃えて語りますが、「最初は体に悪いと考えて何か食べながら連続飲酒を始めますが、しだいに食べると吐くようになり、さらに水を飲んでも吐くようになりますが、そんな時でも不回認、識とお酒だけはす!とのどに入っていくのです。それでついにお酒を欽んでは寝るという生活になって行き、最後にお酒を吐くようになって何も口から入らなくなって病院に駆け込むのです」という経過をたどります。これをお酒の極楽道というか、地獄道と呼ぶのが適当なのかは難しいところです。

離脱症状の出現――依存症の完成
離脱症状は、アルコールという依存性薬物の薬理作用の一つです。離脱症状が出現する状態を、身体依存の状態とも呼びます。先程述べたように、どんなにお酒が強くなってもアルコールの代謝はそんなに早くなるわけではありません。大量飲酒を毎日続けると、一日中アルコールが休から抜けない状態になります。つまり中枢神経が常にアルコール漬けの状態になります。この状態が長く続くと血液中のアルコール濃度が下がると離脱症状が出現するようになります。離脱症状は、落ち着かなさ、イライラ感、手の震え(振戦)、冷や汗、吐き気などです。下痢や胸苦しき(心停克進)を伴うこともあります。離脱症状は先程の飲酒欲求や渇望感とも繋がりがあります。そして不思議なことは、この耐え難い離脱症状も、そこでお酒を飲むとピタリと収まることです。夜に毎晩大量飲酒を続けている人は、翌日の午後になると血液中のアルコール濃度が低下しますから、午後になると落ち着かなくなり、そこで何とかお酒を飲んで、離脱症状を収めなくてはならなくなります。ここから職場での隠れ飲みが始まりますし、終業時間になると飛ぶように職場から離れてまずは一杯ということになるのです。こうなると離脱症状を抑えるために、いつでも飲めるようにお酒を準備しておくとか、頭の中はお酒のことばかりが駆けめぐることになるのです。連続飲酒も、この離脱症状の苦しみから逃れる一つの方法でもあるのです。

こうして、離脱症状の出現でアルコール依存は完成します。後は際限もなく飲み続けるしかありません。表叩にアルコール依存症の内容を示しておきます。昔は慢性アルコール中毒とかアルコール噌癖とかの診断名を使っていましたが、最近はアルコール依存症という診断名に統一することにしています。成人の場合、アルコール依存の状態になるまでには、習慣飲酒を始めてから一O年から二O年かかるのですが、若いアルコール依存症においては、数か月から数年の短い期間しかかからないという特徴があります。そのことは後で触れます。

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