中学生八%、高校生一四%、大学生の四一二%が週一回以上の飲酒
私は国立療養所久里浜病院の同僚達と協力して、一九九O年から一九九二年までの約二年間に、全国の高校生一万四000人、中学生三OOO人、そして、大学生一OOO人の調査を行いました。あらゆるってを通じて調査をしてもらえそうな学校を捜し、調査を依頼したわけです。その問、学校の厚い壁には悩まされました。調査は首都圏の学校では比較的多く行うことができましたが、地方では限られました。結局、高校生は、東京都、神奈川県、千葉県、大阪府、栃木県、群馬県、和歌山県、山口県、宮崎県の九都府県の四四校、中学生は、神奈川県、埼玉県、茨城県空二県の二一丁夜、大学生は、東京の私立大学一校の調査となりました。

子ども達がいったいどのくらい飲酒しているか、まず私達の調査結果から紹介しましょう。表ーを見て下さい。中学生の五七%、高校生の七五%、大学生の九四%はお酒を飲んだ経験を持っています。もちろんこの中には、日本の伝統的な文化であるお正月のお屠蘇や、親類の結婚式やお葬式・法事などで、周囲から勧められてやむを得ず少量のお酒を飲んだだけの子どももいると考えられます。あるいは、コンパという行事は、三O年前は大学生の特権でしたが、一O年前から高校生の間でもごくあたり前の言葉として広まっており、そのようなコンンパや打ち上げの場に参加して周囲から勧められてやむを得ず少量の飲酒をしている子どもも含まれています。そういう子どもは、年に一～二回の飲酒ということになるのでしょう。年に一～二回の飲酒の子どもは中学生で三O%、高校生でも三O%、大学生で六%くらいです。そうするとそれ以上飲酒している子ども達、つまり月に一回以上飲酒していると答えた子どもは、もう立派に自分の意思で飲酒しているということになるでしょう。月に一回以上飲酒しているものは、中学生で二四%、高校生で四五%、大学生で八八%に存在しました。そしてもっと頻度の高い飲酒をしている者、つまり週に一回以上の飲酒をしている子どもは、中学生で八%、高校生で一四%、大学生では四三%存在しました。日本では大人でほぼ毎日飲んでいる人は、男性で四五%、女性で九%といわれています。むろん子どもの飲酒はまだ大人達と比較するとそんなに飲んでいるわけではありませんが、注目に値するのは、子どもの間では、男子と女子の聞には大人ほどの大きな差が見られないことです。たとえば週に一回以上飲酒している生徒は、中学生の男子で一一%、女子で5%ですし、高校生でも男子で一八%、女子で七%、大学生になると男子で五O%、女子で二四%ですから男女比では三対一の割合です。表ーから子ども達がごくあたり前の感覚で飲酒しているということがおわかりいただけたと思います。

　一回の飲酒量は？
それでは子ども達は、どのくらいの量のお酒を飲んでいるのでしょうか。表2に飲酒量を載せました。この調査はコップ一杯はビール二OO叫と決めました。一回の飲酒でビールにしてコップに三杯以上、つまりビール大びん一本以上飲んでいる子どもは、中学生で九%、高校生では三四%、大学生では実に七四%に及んでいます。高校生では一回にヒール大びんの二本以上飲むという子が一四%もいるのです。一方中学生ではまだ飲む量は少なくて、コップに一杯以下の子が、二一八%と最も多いのです。それでは、子ども達はどんなお酒を好んで欽んでいるのでしょうか。これは中学生、高校生、大学生に共通してビールが好まれています。二番目にカンチューハイとかさまざまなサワー類、次いでウイスキーとなっています。ウイスキーなどの強いお酒も、水割りにして飲むことが多く、子ども達は、どちらかといえば口あたりのいいお酒を好んで飲んでいるようです。