受験勉強も一つのきっかけ
子ども達のもう一つのお酒の飲み方は、自分の部屋で一人でこっそり飲酒することです。中学生も七%の生徒が一人で飲むことがあると答えていますし、高校生では二二%の生徒が一人で飲酒していると答えています。お酒の手に入れ方は、自分の家にあるお酒であったり、自動販売機で買ったり、コンビニエンスストアで買ったりのようです。
私達の立場からは、シンナー、タバコ、アルコールなどの依存性物質は、一人で使用するのが一番習慣的、依存的使用の近道であると考えます。シンナーでも、遊びで友達と吸っているうちにそれだけでは物足りなくなり、一人で吸うようになった子どもが多いのですが、たまには最初から一人で吸い始めたと述べる子どももいます。アルコール依存症においても、最初は仲間とワイワイやりながら楽しく飲むのが好きだったのが、ひどい飲み方になる頃から一人で飲むようになるというパターンが多いのですが、飲酒の最初から一人で飲み始めたという人にも時々出会います。事実、二O代の若いアルコール依存の人達を見ていると、何割かは受験勉強で飲酒を始めたのがきっかけです。私が治療した若いアルコール依存症の中に、そのような人がいました。高校三年間は遊んだりバイ卜したりで適当に過ごし、浪人をして勉強をするつもりでした。浪人になって受験勉強を始めた頃から、どうしてもイライラが強く勉強に集中出来ない日が続き、ある時に一杯のビールを飲んだところこのように、引きこもりになった子ども達は、アルコールに心理的に傾斜することが多いのです。
まずは引きこもってやり場のないイライラゃうっ積した感情のはけ口として、精神安定剤として飲んだり、また勇気を奮い起こすための興奮剤として使っています。このようなアルコールの使い方は大人の飲み方と変わりがありません。